変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が加齢や過剰な負荷によって徐々にすり減り、関節の変形や機能障害を引き起こす慢性疾患です。中高年の女性に多くみられ、肥満、O脚変形、膝の外傷歴、遺伝的要因などが発症リスクとなります。軟骨の摩耗は自然には再生せず、時間の経過とともに痛みや可動域制限が進行し、生活の質が低下します。
初期は歩行時や立ち上がり時に膝の違和感や軽度の痛みが出ますが、進行すると階段の昇降困難、長時間の歩行制限、こわばりや腫れが現れます。特に動き出しの痛みが特徴で、朝起きたときの立ち上がり、椅子から立ち上がってからの数歩、自動車を降りて歩き出すときなどに強い痛みを感じるようになります。症状が悪化すると安静時や夜間にも痛みが生じ、睡眠や日常生活に支障を来します。関節の動きが制限され正座やしゃがみ込みが困難になり、O脚変形(時にはX脚変形)が目立つようになります。症状は進行性で放置すると歩行困難に至ることもあります。
診断はまず詳細な問診で症状の発症時期や経過、既往歴、生活習慣を確認し、身体診察で膝の腫れ、痛みの局在、可動域、変形の程度を評価します。X線(レントゲン)検査では大まかな進行度合い、およびアライメント(O脚変形、X脚変形)を評価します。症例によってはMRIを撮影して軟骨の摩耗、半月板断裂、滑膜炎、靱帯変性の有無などの評価を追加します。これらの検査を総合して病期を判断し、治療方針(手術適応)を決定します。
治療は症状の程度や生活への影響度に応じて選択します。初期〜中等度では消炎鎮痛薬、外用薬、ヒアルロン酸注射、膝サポーターや足底板などの装具療法、減量指導、筋力強化を目的としたリハビリが中心です。これらで十分な改善が得られない場合、手術を検討します。代表的な手術は人工膝関節置換術(全置換術:TKAあるいは単顆置換術:UKA)で、関節表面を人工部品に置き換え痛みを軽減し、機能回復を図ります。若年者の場合は、高位脛骨骨切り術(HTO)で荷重軸を修正し、関節への負担を軽減することで自分の関節を温存することを検討します。術後は早期離床と段階的なリハビリが重要で、入院期間はおおよそ2週間です。適切な術式選択と術後管理により、高い満足度と長期成績が期待できます。
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