硬膜動静脈瘻(dural Arteriovenous Fistula: dAVF)とは、脳や脊髄を包む「硬膜」上で動脈と静脈が異常につながってしまう疾患です。この異常な血流が原因で、脳の静脈に過剰な血流が流れ込み、脳出血やけいれん、脳浮腫の原因となります。
様々な場所に発生するため、症状は様々です。海綿静脈洞部に発生した場合には、眼球運動障害による複視や眼球結膜充血の原因になります。横S状静脈洞部に発生した場合には、拍動性耳鳴(一定の音が持続する耳鳴ではなく、耳の奥で血液が拍動する音が聞こえる耳鳴)の原因となります。脊髄で発生した場合には、下肢麻痺などの原因になります。他疾患の検査中に、無症状でたまたま発見されることもあります。
前述の脳動静脈奇形と名前が似ていますが、異なる疾患です。脳動静脈奇形が先天的疾患であるのに対し、硬膜動静脈瘻は後天的疾患であり、外傷、開頭手術、放射線治療などが原因になるとされています。実際には明確な原因が分からないことがほとんどです。
CTでは描出されにくく、MRI/MRAや3D-CT血管造影での診断が必要です。MRI/MRAや3D-CT造影検査では「硬膜動静脈瘻がある」ことは分かりますが、手術治療を行うための情報としては不十分です。脳血管撮影を行い、どの動脈がどこで硬膜動静脈瘻を形成してどの静脈にどの方向で流れ出しているのか、を動的に判断することが必要です。
COPYRIGHT © JAPANESE RED CROSS ISE HOSPITAL ALL RIGHTS RESERVED