頚動脈は、首の左右に1本ずつある太い動脈で、心臓から脳へ血液を運ぶ重要な血管です。この頚動脈が動脈硬化により狭窄すると、
といったことが起こり、脳梗塞の原因となります。脳梗塞を発症して見つかる場合もありますし、他の目的で行った検査や脳ドックなどで偶然に見つかる場合もあります。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣、過度の飲酒習慣などが原因となり、徐々に動脈硬化が進行します。頚動脈が狭窄してきたことの自覚症状はありませんので、検査を行わないかぎり気づけません。
頚動脈狭窄症は、頚動脈エコー、MRAで見つかることが多く、詳細評価のために、3D-CT血管造影や脳血管撮影を行います。狭窄が軽度であれば、進行を防ぐために最善の内科的治療(best medical treatment;BMT)を行いますが、中等度~高度狭窄の場合には、外科的治療を検討する必要があります。外科的治療で狭窄を解除することができますが、閉塞してしまうとそこを再開通させる治療はありません。
外科的治療が必要かどうかの決定には、狭窄率が最も重要です。狭窄率は、面積で表現されることもあれば血管径で表現されることもあります。面積と血管径では狭窄率が大きく異なってきますので、脳血管撮影にて正確に血管形状を評価し、血管径での狭窄率を算出する必要があります。
狭窄率が高くなくても、著明な壁不整や潰瘍(プラーク内への掘れ込み)がある場合には、治療を行ったほうがよい場合もあります。
症候性(脳梗塞の原因になったことがある)か無症候性(脳梗塞の原因になったことがない)によっても、治療適応の判断基準は異なります。症候性である場合には、より積極的に外科的治療を行うことを考慮します。
狭窄率が高くない場合には、外科的治療は不要です。いったん狭窄してしまうと、その狭窄が自然に改善することはありません。それ以上に狭窄が進行しないよう、適切な薬物治療(BMT:best medical treatment)を行って危険因子の管理を徹底します。禁煙や節酒などの努力も必要です。
「頚動脈内膜剥離術(Carotid Endarterectomy;CEA)」と「頚動脈ステント留置術(Carotid Artery Stenting;CAS)」があります。頚動脈内膜剥離術では、頚動脈を切開してプラークを切除して頚動脈狭窄を解除します。頚動脈ステント留置術では、ステントと呼ばれる金属の網を頚動脈狭窄部で拡張させることで、プラークを圧縮して頚動脈狭窄を解除します。頚動脈狭窄の位置が高すぎると、顎が邪魔になって頚動脈内膜剥離術は行えません。頚動脈狭窄の原因となっている頚動脈プラークが硬すぎると、頚動脈ステント留置術では十分な頚動脈狭窄解除が達成できない危険性があります。同じ「頚部頚動脈狭窄症」でも、頚動脈内膜剥離術が適している場合、頚動脈ステント留置術が適している場合、があります。
当院では、どちらかの治療に偏ることなく、「将来的に脳梗塞の発症を防ぐにはどちらの治療が適切なのか」「体への負担を考慮すればどちらの治療が適切なのか」を慎重に判断し、提案します。
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