MENU

PICK UP

聴神経鞘腫

  • 神経鞘腫は神経を包んでいる鞘の部分にできる腫瘍です。基本的には良性の腫瘍です。
  • 前庭神経にとおる平衡感覚をつかさどる神経に発生することが多いです。前庭神経は上前庭神経、下前庭神経と2本あり、これに蝸牛神経といわれる聴覚に関与する神経と合わせて3本が一つの束になっています。これを聴神経といいます。ここにできる場合を聴神経鞘腫と表現することが多いです。

症状

  • 良性腫瘍のため徐々に大きくなりますが、ある程度小さなころから蝸牛神経の症状として耳鳴り、難聴が生じてきます。前庭神経の障害としてふらつきなどが見られることもありますが、日常生活で慣れてくるためあまり問題になることはありません。
  • 腫瘍がさらに大きくなると小脳脚、橋、小脳を圧迫し、これによるふらつきを生じます。この場合は、小脳失調によるふらつきのため、四六時中ふらつき、歩行も困難となります。このぐらい大きくなると顔面神経麻痺を来すこともあります。
  • 腫瘍は蛋白を多く分泌するため髄液の蛋白が上昇し、髄液の還流障害により水頭症を起こすことがあります。

治療方針

  • 経過観察、手術、放射線治療があります。
  • 症状があれば手術を行う、無症状であれば経過を見るというわけではありません。
  • 腫瘍が小さい間は経過観察です。腫瘍が小さくても、難聴を認めることがありますが、手術により改善することは困難であるため手術適応にはなりません。この場合は、ガンマナイフ治療を行うこともありますが、経過観察とガンマナイフ治療で比較しても難聴を改善することはできず、難聴の進行をガンマナイフが若干遅らせることができる程度といわれています。腫瘍が小さい間は経過観察もしくはガンマナイフ治療となります。
  • 腫瘍の大きさが2.5cm以上となると、多くの場合腫瘍は脳幹~小脳脚に接触します。この状態ではふらつきは生じませんが、この時点でガンマナイフを行うと腫瘍が一時的ですが増大することがあります。以上よりガンマナイフ治療は2.5cmまでに行うことが良いと考えています。
  • 2.5cm以上の腫瘍で、小脳、小脳脚、脳幹への圧迫による症状を認めるものもしくは、症状をきたす可能性が高いものなどが手術適応となります。
  • 手術の目的は腫瘍をできるだけ取り除き、小脳、小脳脚、脳幹への圧迫を解除することで症状の進行を抑え、症状の改善を期待します。また病理診断も行います。ただし難聴、耳鳴りは改善しません。

経過観察

腫瘍が増大しないか定期的に画像検査をします。検査は主にMRIで行います。また治療後も同様で定期的に画像検査を行います。

手術

目的

  • 腫瘍をできるだけ取り除き、小脳、小脳脚、脳幹への圧迫を解除することで症状の進行を抑え、症状の改善を期待します。 *ただし難聴、耳鳴りは改善しません。
  • 病理診断も行います。

方法

  • 開頭術を行います。主に顕微鏡手術ですが、当院では内視鏡手術を併用しできる限り安全な手術を行っています。手術を安全に行うために術中支援としてニューロナビゲーション、神経モニタリングを行います。
  • 腫瘍の大きさによっては脳幹、小脳脚、多くの脳神経(顔面神経、三叉神経、外転神経、下位脳神経)を圧迫、巻き込んでいる場合がありますが、神経モニタリングを利用し機能温存しながら腫瘍を摘出します。これらの神経や小脳脚・脳幹の温存のため、腫瘍をすべて切除するのは困難です。

放射線治療

以下の場合に放射線治療を行うことがあります。主にガンマナイフ治療です。

  • 2.5cm以下の腫瘍
  • 再発した腫瘍