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脳動静脈奇形

脳動静脈奇形とは

脳動静脈奇形(Arteriovenous Malformation;AVM)は、脳の血管に生まれつきできる異常な血管の塊です。通常、脳の血液は「動脈→毛細血管→静脈」という順で流れますが、脳動静脈奇形では動脈と静脈が「ナイダス」と呼ばれる異常な血管塊で繋がっています。毛細血管を介さないため、動脈の高い圧力がナイダスや静脈に伝わり、その負担に晒されたナイダスや静脈から出血して脳出血になります。

脳出血の原因になる他、けいれん発作や慢性的な頭痛の原因にもなります。何も症状がないまま、たまたま発見されることもありますが、CTでは十分に描出されずに見逃されてしまうこともあり、診断にはMRIが必要です。

脳動静脈奇形は脳出血の原因となり、未破裂脳動静脈奇形では年間1~3%、既破裂脳動静脈奇形では年間4~10%の破裂率と報告されています。未破裂脳動静脈奇形を20年間経過観察した場合の累積リスクは約33%(年間2%の破裂率として計算)となりますので、小児や若年者では長い目でみれば決して無視できないリスクとなります。逆に、高齢者では手術合併症の危険率が上回ることもあります。

原因

胎児期に脳の血管が形成される過程で生じる血管の病気です。

一部の稀な遺伝性疾患に合併することがありますが、基本的に遺伝性はありません。

必要な検査

  • 大きなものであれば頭部CTで見つかりますが、MRI/MRAでの診断が確実です。
  • 脳動静脈奇形の大きさ、血行動態、場所などによって手術難易度が変わってきますので、詳細な評価のためには脳血管撮影も必要です。

治療適応の決定

  • 内科的治療:脳動静脈奇形に対する薬物治療はありません。
  • 手術治療を行うべきかどうかは、年齢や全身状態など考慮した上で個別に判断すべきです。「見つかったから手術」というのは正しくありません。
  • 1. 直達手術(開頭術による脳動静脈奇形摘出術) 2. 脳血管内治療(脳動静脈奇形に繋がる動脈やナイダスをカテーテル治療で塞栓する) 3. 定位放射線治療(放射線を照射することで数年の経過で脳動静脈奇形の消失が期待できる) が治療選択肢です。実際には、これらの治療を複合して、症例ごとに適切な治療を行います。
  • 直達手術が成功すれば、脳動静脈奇形はなくなります。手術中に大量に出血することがあるため、事前に脳血管内治療で可能なかぎり脳動静脈奇形へ流れ込む血液を減らし直達手術の安全性を高めることが、よく行われています。脳血管内治療だけで完全に脳動静脈奇形を塞栓して治してしまうことはなかなか難しいのが現状ですが、脳動静脈奇形の直達手術を成功させるためには必須の治療です。
  • 定位放射線治療は、開頭手術を行うことなく脳動静脈奇形の治癒が得られる可能性のある治療ですが、「必ず治癒する」とは断言できません。期待通りの治癒が得られず「再治療」が必要になることもありますし、何より治癒が得られるまでに数年の時間を要しますので、その間の破裂リスクを許容しなければなりません。また、一定のサイズを超える脳動静脈奇形は定位放射線治療でカバーできないため、事前に脳血管内治療で塞栓してサイズを小さくするなどの処置が必要になりますが、正確な脳動静脈奇形の形状が分からなくなり不適切な定位放射線治療に終わってしまう危険性もあります。
  • 当院では、脳血管内治療を積極的に行った後、直達手術での脳動静脈奇形摘出を行っています。定位放射線治療には特殊な放射線装置が必要ですので、定位放射線治療が可能な医療機関を紹介しています。