「近所の坂道で息が切れるようになった」「胸がギューッと苦しくなることがある」
このような症状、単なる加齢によるものだと思っていませんか? もしかしたら、心臓の中にある「弁」の働きが悪くなる「心臓弁膜症」が原因かもしれません。
心臓は4つの部屋に分かれており、それぞれの部屋の出口には、血液が一方通行で効率よく流れるように「弁」という扉がついています。この弁は、心臓が収縮するときに開いて血液を送り出し、広がるときに閉じて血液の逆流を防ぐ、非常に重要な役割を担っています。
心臓弁膜症とは、この弁が硬くなって開きにくくなったり(狭窄症)、うまく閉じなくなって血液が逆流してしまったり(閉鎖不全症)する病気の総称です。
弁膜症の中でも、特にご高齢の方に増えているのが「大動脈弁狭窄症」です。
これは、心臓から全身に血液を送り出すための最も重要な出口にある「大動脈弁」が、主に加齢によって硬くなり、開きにくくなってしまう病気です。
扉の開きが悪くなると、心臓は今まで以上に力を入れて血液を全身に送り出さなければならず、次第に疲弊してしまいます。
大動脈弁狭窄症は、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、病気が進行し、以下のような症状が現れた場合、それは心臓が限界に近いことを示す「危険のサイン」です。
これらの症状があったら循環器内科までご相談ください、大動脈弁狭窄症かもしれません。大動脈弁狭窄症による症状が出現してからの平均余命は2~3年と言われており、症状に気づいたら速やかに検査・治療を受けることが極めて重要です。
悪くなった弁をお薬で元に戻すことはできないため、大動脈弁狭窄症の根本的な治療は、人工の弁に取り替えることです。
従来は、胸を大きく開いて心臓を止め、悪くなった弁を外科的に取り替える「外科的弁置換術」が標準的な治療でした。しかし、この手術はご高齢の方や、他の病気をお持ちで体力が低下している方にとっては、身体への負担が非常に大きいものでした。
そこで登場したのが、新しいカテーテル治療『TAVI(タビ/経カテーテル大動脈弁留置術)』です。
TAVIは、胸を開けることなく、主に足の付け根の血管からカテーテルという細い管を通して、折りたたんだ新しい人工弁(生体弁)を心臓まで運び、悪くなった大動脈弁の内側で広げて留置する治療法です。
以前は外科手術が困難な患者さんに限られていましたが、現在では治療成績が非常に良好であることから、80歳以上の高齢の方や、何らかのリスクで外科手術が難しいと判断された患者さんの標準的な治療法となっています。
当院では、循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、放射線技師、生理検査技師、その他コメディカルなど、各分野の専門家からなる「ハートチーム」を組み、患者さん一人ひとりにとってTAVIが本当に最適な治療法であるかを慎重に検討し、安全に治療を行っています。
年のせいと諦めずに、まずはご相談を
息切れや倦怠感、胸の痛みを「もう年だから」と見過ごしていませんか? 適切な治療を受けることで、また元気に坂道を歩いたり、趣味を楽しんだりできる可能性があります。気になる症状があれば、ぜひ一度、当院循環器内科にご相談ください。
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