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乳がんの治療について

乳がんの治療は、病期(ステージ)やサブタイプを考慮する必要があります。

以下に、主要な治療法とその選択の流れを簡単にまとめました。(詳細な治療法については担当医とよくご相談ください)

病期(ステージ)による治療の選択
ステージ 特徴 主な治療法
0期(非浸潤がん) がんが乳管内にとどまる 乳房部分切除+放射線療法 広範な進展があれば乳房全摘術
I〜II期 腫瘍が比較的小さく、転移が限定的 (術前薬物療法)+手術+放射線療法+薬物療法。サブタイプや病変の状況を考慮し選択
III期 腫瘍が大きい、リンパ節転移あり 術前薬物療法+手術+放射線療法+薬物療法。サブタイプや病変の状況を考慮し選択
IV期 遠隔転移あり(骨・肺・肝臓など) 薬物療法中心、緩和ケアも併用

サブタイプによる治療の違い

乳がんは以下のようなサブタイプに分類され、それぞれに適した薬物療法があります。サブタイプは、ホルモン受容体・HER2受容体・Ki67(MIB-1)などの検査で判定されます。

  • ルミナルAタイプ、ルミナルBタイプ(ホルモン受容体陽性)
    • ホルモン療法が中心。悪性度や病期を考慮して抗がん剤やCDK4/6阻害薬の併用を検討。
  • ルミナルHER2タイプ(ホルモン受容体陽性、HER2受容体陽性)
    • 化学療法+抗HER2薬+ホルモン療法。悪性度や病期を考慮して使用薬剤を検討。
  • HER2タイプ(HER2受容体陽性)
    • 抗HER2薬(分子標的薬)+化学療法が有効。
  • トリプルネガティブ型(ホルモン受容体陰性、HER2受容体陰性)
    • 化学療法が中心。術前に行うことも多い。

主な治療法の概要

手術

  • 乳房部分切除術(温存手術、できるだけ形を整える)
  • 乳房全切除術(再建手術を行うこともあり)
  • センチネルリンパ節生検を行い、転移があればリンパ節郭清が必要なこともあり

化学療法(抗がん剤)

  • 術前または術後に行う
  • サブタイプによって使用薬剤が異なり、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を併用する場合もある
  • 細胞障害性抗がん薬(従来型の抗がん剤)の例:ドセタキセル、パクリタキセル、アントラサイクリン系(アドリアマイシン、エピルビシンなど)

放射線療法

  • 部分切除後やリンパ節転移があった場合に局所再発予防として
  • 再発時や転移時にも使用されることがある

ホルモン療法

  • ホルモン受容体陽性の乳がんに有効(タモキシフェン、LH-RHアゴニスト、アロマターゼインヒビターなど)
  • 5~10年の長期にわたる治療

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)

  • 免疫細胞の「ブレーキ」を解除し、がん細胞への攻撃力を高める
  • 主にトリプルネガティブ乳がんに使用

分子標的療薬の主な種類

  • HER2陽性乳がんに使用される薬剤:トラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ラパチニブ
  • ホルモン受容体陽性・HER2陰性乳がんに使用される薬剤:パルボシクリブ、アベマシクリブ
  • その他の分子標的薬:エベロリムス、ベバシズマブ、オラパリブ

治療は十分なインフォームド・コンセントの上で提案します。 

また治療は腫瘍内科医や放射線治療医と連携し、QOLに配慮した化学療法、放射線治療を行います。

形成外科と連携し乳房再建術を施行する場合もあります。

乳癌学会のガイドラインに沿った診断・治療を基本としていますが、個々の患者の病態、状況に応じた治療を行うことも重要と考えています。